第611回札幌交響楽団定期演奏会を聴いてきました

夫のマシュウです。

北海道の短い夏休みが終わって、ここ札幌で開催されていたPMFの夏も終わってしまいましたが、札響定期の夏休み?も終わり、いよいよ定期演奏会の季節に入りました。

8月25日に、第611回定期演奏会が開催され、久しぶりにキタラに足を運びました。

今日の中島公園は・・・

開場までの時間、いつもの中島公園を歩いて・・・菖蒲池の周りを巡りました。

台風19号くずれの温帯低気圧の通過で、札幌も明け方は大雨でしたが、お昼過ぎには台風一過?・・・とはいかず、蒸し暑い曇天の空模様。

池にはボートを繰り出すファミリーとカモの姿が・・・

キタラです。安田侃さんの「相響」越しにキタラを望みます。

定期演奏会のプログラム♪

今回のテーマは「20世紀初頭、麗しき英国の青春の刻」となっています。

英国といえば、札響名誉音楽監督の尾高忠明さん。

尾高さんは、過去にBBCウェールズ交響楽団の首席指揮者を務め、英国の作曲家の演奏や紹介に大きく貢献されるなどで英国音楽に造詣が深く、大英帝国勲章やエルガー・メダルなどを受章されています。

その尾高さんが、満を持して、今回の定期演奏会で英国の3人の大作曲家エルガー、ヴォーン・ウィリアムズ、ウォルトンの作品を紹介してくださいました。

曲目は、最初にヴォーン・ウィリアムズの「タリスの主題による幻想曲」、次いで、エルガーの「チェロ協奏曲」(ヴィオラ版)、最後にウォルトンの「交響曲第1番」の3曲でした。

開場を待つ人であふれるロビー

ヴォーン・ウィリアムズ「タリスの主題による幻想曲」

エルガーの15年後に生まれた、ヴォーン・ウィリアムズは、イギリスの民族的性質を深く映し出した作品を生み出したといわれています。

彼の作風は、文学や民謡、賛美歌、またパーセルなど昔の作曲家の影響を受けているということです。

この「タリスの主題による幻想曲」はイギリスのトマス・タリスの音楽を主題にしています。タリスはローマカトリック協会から独立したイングランド国教会のために多くの宗教音楽を作曲し、イギリス教会音楽の父と呼ばれています。そのタリスの主題をもとに書かれたものです。

これは、弦楽だけで演奏される曲で、16世紀の教会音楽の性格を出すため、弦5部からなる弦楽は大小2つのオーケストラに分割され配置されています。

大きなオーケストラは51人、少し離れたところに配置された小さなオーケストラは9人という編成です。

大小2つのオーケストラがタリスの主題を立体的に描き出していて、いつもとは違う弦楽合奏が奏でる荘厳な教会の雰囲気やパイプオルガンのような雰囲気を醸し出し、まるで「天上の音楽」のように心にしみ入るように聴こえました。

札響の弦楽パートメンバーの奏でる弓の繊細なタッチが印象的でした。

エルガー「チェロ協奏曲」(ヴィオラ版)

この3人の中で一番の年長で、イギリスの音楽の土壌をつくったといわれるのがエルガー。エルガーといえば、イギリスを代表する有名な作曲家で、「威風堂々」や変奏曲「謎」などがすぐ思い浮かぶほど数々の名曲を生み出していますが、

今回演奏される「チェロ協奏曲」もその中の一つで、エルガーの代表的な名曲ですが、作曲した1918年当時、彼は第一次世界大戦の影響で体調を崩し、さらには妻の病気などつらい状況にあったという背景を持つ作品です。

この曲をヴィオラ奏者のターティスという人が編曲し、エルガーが称賛してエルガー自らの指揮で公演されたということです。今回のソリスト、今井信子さんがこのヴィオラ版で演奏してくれました。

今井さんは、この曲の中に潜むエルガーの真意を、あえてヴィオラで伝えたいということで、各地で演奏して好評を博しているとのことです。

その評判通り、今井さん熱のこもった演奏で、チェロの響きとはまた一味違った音色で、私たちの胸に迫る感動を与えてくれました。

また、アンコールに応えて、J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲第1番”サラバンド”を披露してくださいました。

ウォルトン「交響曲第1番」

ウォルトンはこの3人の作曲家の中で一番若い、20世紀の作曲家です。

この交響曲の初演も1935年11月ということですから、第二次世界大戦前夜の完成で、比較的現代の曲ですが、いわゆる現代音楽風ではなく、曲風はベートーベン時代的な精神で作られているという伝統的な作風の曲です。

それでも、足元に忍び寄る暗い時代を予感させる不穏な空気感を、激しい弦の響きや、ホールいっぱいに響く金管群の演奏に表れているような感じが特徴的で、とてもスケールの大きな曲でした。

札響の金管群が大活躍の演奏でした。

この交響曲は、尾高さんが大変得意とする曲だということですが、私は初めて耳にする曲でした。

ただ、メロディなどがあまり心に伝わってくるものがなくて、もっと、聴きこまなくちゃ!と思った演奏会でした。

尾高さんは、久しぶりの札響の指揮ですが、信頼感にあふれた息の合った演奏は以前と変わらず、懐かしく聴くことのできた演奏会でした。

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コメント

  1. ito jigyou より:

    マシュウさん、こんにちは。
    クラッシク音楽に詳しいのですね。楽しまれている様子を深く感じています。
    私10年くらい前から不思議にクラッシクに目覚め、車のオーディオはクラッシクオンリー、去年は池袋芸術劇場へ読響を聴きに5回通いました。来月17日は宇都宮で
    栃木県交響楽団の特別演奏会、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番他で楽しみ
    にしています。マシュウさんにとって、クラッシクの魅力は何なのでしょうか?
    私にとってのきっかけは「モルダウ」に不思議な心の安らぎを感じた事でした。

    • ともに白髪の生えるまで より:

      ito jigyouさん、コメントありがとうございます。マシュウです。
      同じクラシックファンとしてうれしいです。聴いていて、とても癒されるんですよね。毎日NHKFMのクラシックカフェをエアチェックして聴いています。
      心地よい曲は編集して妻に聴かせたりして楽しんでいます。

      itoさん、こんばんは♪ アンです。嬉しいコメントをありがとうございます!私も夫に洗脳?されて、いつしかクラシックを聴くようになりました。
      itoさんが「モルダウ」をお好きとお聞きしてびっくりしました(^^)
      実は私も大のお気に入り!とても深い思い出がある曲なんです。夫に連れられ2回、キタラに聴きに行きました。いつかチェコに行ってモルダウ川を見るのが「夢」です♪