夫のマシュウです。
3月も半ばを過ぎ、今年度も有終の美を飾りたいものです(^^)/
3月16日に、「札幌交響楽団」の今年度の締めくくりとなる
第617回定期演奏会を聴いてきました♪
今日の中島公園
3月に入ってから、札幌も雪解けが一気に進みました。
梅や桜の咲く、京都旅行から昨夜帰ってきましたが、
今朝目覚めると、窓の外は一面の雪景色!
気候の違いに改めて驚かされます(^^)/
中島公園も、雪に覆われています。
突然の春の雪で、景色はモノトーンに一変
中島公園内には小山の上に札幌市天文台があります。
いつもは子供たちのそり遊びでにぎやかな声が響きますが、今日はひっそり
キタラに来る人も、寒いので、がっちりまかなっています。
今回のテーマは【『ハルサイ』で札響に初登場、ウルバンスキ】
パンフレットの標題が「PRINTEMPS(プランタン)」とあります。
プランタンはフランス語で「春」
これに、テーマの「ハルサイ」と、くると・・・
そうです。今回は待ちに待った「ハルサイ=春の祭典」が演奏されるのです。
その昔、私が札響の定期演奏会で最初に聴いたのが
ストラヴィンスキーの「春の祭典」でした。
初めて耳にして、わけの分からないリズムに、「なんじゃこりゃ!」と
驚いた記憶が鮮明に残っています(笑)
あれから何年になるでしょうか。
何度も聴き込むうちに「最も好きな曲の一つ」になってしまいました(^^)/
この曲の「初演」の時も大ブーイングだったそうですが、
「最初はそうだよな!」って気がしました(笑)
そして、「札響初登場、ウルバンスキ」というのは、
指揮者の「クシシュトフ・ウルバンスキさん」で、以前PMFの指揮者として登場!
強い印象を残したので今回の招へいとなったのでしょうか。
他の演奏曲目は、ウルバンスキさんと同じポーランド出身のペンデレツキ作曲
「広島の犠牲によせる哀歌」と、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番です。
ヴァイオリンの独奏にアレクサンドラ・スムさんを迎えました。
今回のプログラム♪
いずれも20世紀に活躍した作曲家の作品です。
ペンデレツキ/広島の犠牲によせる哀歌
もともとの曲名が演奏時間を指定した「8分37秒」と付けられた弦楽合奏曲ですが、
作曲者自身が作品を聴いて情緒的な迫力から連想して「広島の原爆犠牲者に捧げる哀歌」と
後で命名したということです。
1994年には、ペンデレツキ自身の指揮で「広島交響楽団」の演奏によって
広島初演を果たしています。
いわゆる「前衛音楽」で、トーン・クラスター(音の房)という技法を用いており、
一般的なクラシックの心地よい「協和音」ではなく、混濁した「不協和音」のまじった曲
となっているのです。
これを52人の弦楽器群が、いろんな場面に応じて様々にグルーピングされ、悲壮感あふれる響きを奏でる音楽は、まさに「広島の惨禍」に想いをいたす曲です。
ショスタコーヴィチ/ヴァイオリン協奏曲第1番
ショスタコーヴィチといえば、常に、ソ連共産党からの批判との駆け引きのなかで
創作活動を続けた作曲家で、数々の名作を生み出しています。
このヴァイオリン協奏曲第1番も、交響曲第8番と第9番が批判を浴びた苦境の頃の1948年には作曲されていましたが、ようやく初演されたのはスターリンが亡くなった後の1955年になってからでした。
初演は献呈したダヴィッド・オイストラフのヴァイオリン、ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー交響楽団の演奏によってでした。
この曲は、一般的な協奏曲の3楽章形式ではなく、交響曲のような4楽章で構成された重厚な曲! 金管楽器はホルンとチューバだけ、他にチェレスタやハープが使われています。
金管が少ないにもかかわらず、曲自体は暗いトーンの中にも迫力に満ちた緊迫感のある構成となっています。
各楽章に標題が付けられています。
第1楽章「夜想曲」
第2楽章「スケルツォ」
第3楽章「パッサカリア」、バイオリンの長大なカデンツァが聴きどころ
第4楽章「ブルレスク」、バイオリンの超絶技巧が聴きどころ
ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」
ロシアの作曲家の「イーゴリ・ストラヴィンスキー」は、ロシアバレエの興行師ディアギレフの委嘱でロシアの民族性や原始主義をもとにしたバレエ音楽を作曲。
「火の鳥」「ペトルーシュカ」に続いて作曲したのが「春の祭典」!
1913年のパリでの初演は、シャンゼリゼ劇場のこけら落とし直後の重要な公演でしたが、
パリの観衆に大きな衝撃を与えたということで有名です。
その後の評価は、20世紀音楽の最高傑作とも言われるようになりました。
曲は2部構成で、
第1部「大地礼賛」で7曲からなり、主題を構成する独特のリズムは圧巻!
第2部「生贄(いけにえ)」は6曲からなっています。
演奏会を聴いて・・・
最初のペンデレツキの「広島の犠牲によせる哀歌」は、
弦楽器群のうねるような不協和音には耳をふさぎたくなるような感覚を覚え、
その痛々しい響きから「広島の犠牲に捧げる」というタイトルの悲劇的な感情を持たざるを得なくなってしまいます。辛い曲です。
ショスタコーヴィチの「ヴァイオリン協奏曲第1番」は、
アレクサンドラ・ズムさんの超絶技巧が光り、重厚な曲に感動した客席からの鳴りやまない
拍手に応えて、日本語のあいさつの後のアンコール曲は、バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番からアンダンテ」を披露してくださいました。
締めくくりのストラヴィンスキーの「春の祭典」は、
去る2月20日のNHK交響楽団の定期演奏会のプログラムでもありました。
今回もそうですが、結構、オーケストラの演奏会って曲目が被ることがありますね(^^)/
ファゴットの静かなソロで始まり、あの太古の儀式の場面をほうふつとさせる激しいリズムが、聴衆の感情を原始の世界にグイグイ引き込むようで、興奮して聴き入ってしまいました。このリズムにハマっています(笑)
指揮者がスタイリッシュで跳ねるような動きなので、曲の持つ土俗的な雰囲気というより、
洗練された都会的なスマートな演奏で行儀のよい「ハルサイ」という感じでした。
最高の有終の美をかざった演奏会、ちょっと興奮して火照った体を春風にまかせ、
黄昏のなかを帰路につきました(^^)