札幌交響楽団の第614回定期演奏会を聴いてきました

夫のマシュウです。

師走です。今年も残すところあとひと月になりました。

11月下旬に降った雪も融けずに、いきなり冬に入ったような感じの季節感。

そうなんです。札幌の秋はとても短いのです。

もみじの木もきれいな赤に色づいたと思ったら、すぐに雪の重みで葉っぱも落とされ、

痩せた枝ばかりの姿が寒そうに震えています。

時の移り変わりの目まぐるしさを感じます。

その師走が始まった日、12月1日に札幌交響楽団の第614回定期演奏会が

札幌コンサートホールキタラで開催されましたので、聴きに行ってきました♪

今日の中島公園

キタラのある中島公園は、前日からの雪と寒さで菖蒲池も凍って、

もうすっかり冬のたたずまい・・・

キタラに向かう人々も寒さで肩をすくめ、足元を気にしながらも足早に歩を進めます。

キタラ前庭の彫刻「相響」も、覆いをかけられすっかり冬の装いをして、これから来る寒い季節を耐えるような恰好をしています。

ライプツィヒプログラムとは?

今回の演奏会のテーマは「ポンマーゆかりのライプツィヒ・プログラム」と題しています。

そのココロは?

ポンマーとは、前の首席指揮者のマックス・ポンマーさんのことです。

今回は今年の2月以来となる来日で、札響を振ってくれます。

ライプツィヒ・プログラムというのは、ドイツの音楽都市ライプツィヒを拠点に教会音楽の指導者として活躍したバッハと、彼の音楽をメンデルスゾーンやシューマンらによって受け継がれたという関係性を見出します。またいずれも活動拠点をライプツィヒに置いていたことがあるという共通点もあります。そして、なにより極めつけはマックス・ポンマーさん自身がライプツィヒ出身ということで、同窓メンバーの県人会のようなプログラムですね。

ピアノ独奏者に正統派のバッハ音楽を得意とするドイツ人の若手ピアニスト、

マルティン・シュタットフェルトさんを迎えたのですが、

彼もライプツィヒでのバッハ国際コンクールで優勝したという経歴があります。

まさにライプツィヒ祭りです!

音楽の都ライプツィヒがキタラにやってきたというような趣です。

今日のプログラム♪

演奏会の最初はバッハの作曲に影響を与えたマルティン・ルターの賛美歌と深い関係のある

メンデルスゾーンの「宗教改革」で幕を開け、続いては、バッハが初めて書いたピアノ協奏曲第1番を聴き、後半にシューマンの最高傑作「ライン」というぜいたくなプログラム構成です。

札幌交響楽団定期演奏会プログラムから

メンデルスゾーン/交響曲第5番「宗教改革」

メンデルスゾーンは裕福な家庭に生まれ、幼いころ手にしたバッハの「マタイ受難曲」を復活演奏したことで、時代遅れの作曲家といわれていたバッハを一躍有名にしたことで知られていますね。

メンデルスゾーンの交響曲といえば、第3番の「スコットランド」や第4番の「イタリア」などが演奏回数も多く耳なじみのある曲ですが、第5番の「宗教改革」は、じつはこの2曲の前に作曲されていた初期の交響曲だということです。

「宗教改革」という標題は、メンデルスゾーンがルター派の熱心な信者で、マルティン・ルターのプロテスタントとカトリック教会との対立の中で1530年にルター派の主張を記した「宗教改革300年記念祭」のために交響曲を作曲することになりこの標題をつけたのですが、健康を害して完成が遅れ、「300年記念祭」には間に合わなかったということです。

同じくマルティン・ルターの影響を受け、ルターがつくった賛美歌「神はわがやぐら」を教会音楽に取り入れたバッハとともに、「宗教改革」には賛美歌「神はわがやぐら」の旋律が使われているといいます。

ここにメンデルスゾーンのバッハへのオマージュが込められているように思います。

バッハ/ピアノ協奏曲第1番

この協奏曲は、バッハの時代は鍵盤楽器としてはチェンバロが全盛でしたので、チェンバロ協奏曲として作曲されたものです。

ピアノで演奏する場合、ピアノ協奏曲という言い方をしているようです。

バッハの14曲あるチェンバロ協奏曲の中で最も完成度が高く、有名な曲だといわれています。

今回の独奏者のマルティン・シュタットフェルトさんはバッハを得意とする演奏家でその表現力に期待です。

シューマン/交響曲第3番「ライン」

シューマンが1850年にデュセルドルフ市の指揮者に就任し、ドレスデンから移ってライン川沿いの新しい街での暮らしを始めたことで、環境が変わって創作意欲も高まった時期で、多くの作品に取り組み完成させるとともに交響曲第3番の作曲にも取り組み、わずかひと月あまりで完成させたということです。

初演は1851年にシューマン自身の指揮で行われたということで、標題の「ライン」はシューマン自身がつけたものではないということですが、ライン川沿いの町で過ごすシューマンの活き活きした生活が伺うことができる曲です。

しかしながら、この高揚した時期も長続きせず、以前から精神障害に悩まされていたこともあり、4年後にはそのライン川に身を投じて自ら命を絶とうとするのです。

演奏会を聴いて・・・

マックス・ポンマーさんの指揮で聴くのは、今年の2月以来となりますが、

包容力のある大きな体を揺らしながらの温和な演奏はとても安定感を感じさせます。

ピアノのマルティン・シュタットフェルトさんの演奏も、ピアノのタッチが軽やかで、

いかにもバッハといった雰囲気を醸し出した演奏で、バロックの世界に引き込まれました。

もともとのチェンバロの響きも想像しながら聴き入りました。

もしかしたら、チェンバロの方がバッハの音楽性を表しているかもしれません。

メンデルスゾーンの「宗教改革」やシューマンの「ライン」も、バッハへのオマージュという背景を思い浮かべて聴くと、いつも聴く感じとは違って、厳かな気持ちにさせられました。

バッハに始まる、ライプツィヒゆかりの作曲家たちの軌跡。埋もれていたバッハの作品に再び光を当て現在に至る名声の構築に尽力した、メンデルスゾーンとシューマンへと時代を経て受け継がれたドイツ音楽の遺伝子を、定期演奏会という場で同時に聴くことができ、ぜいたくな時間を過ごすことができました。

いかにもドイツ音楽らしい端正なポンマーさんの指揮と、忠実な札響の演奏と相まって、

本場ドイツの正統派音楽に触れられた思いです♪

おまけ(^^)/

演奏会の帰り道で立ち寄った「大通公園」と「道庁赤れんが前」の

イルミネーションがきれいだったので、写真に収めました。

多くの観光客の方がシャッターを押して、札幌の寒い夕暮れ時を楽しんでいました。

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