札幌交響楽団の第616回定期演奏会を聴いてきました♪

夫のマシュウです。

立春が過ぎて2週間になろうというのに、札幌は9日間連続の真冬日を記録しました。

しかし、ようやく2月15日には真冬日を脱し、陽ざしも心なしか春めいてきた感じ・・・

そんな中、札幌コンサートホールキタラで行われた「札幌交響楽団の第616回定期演奏会」を聴いてきました♪

今日の中島公園

さっぽろ雪まつり期間に合わせ、10日まで「ゆきあかりin中島公園」が開催されていました。公園内に置かれた「スノーキャンドル」が「光」で彩られていたのですが、

今日の中島公園は、都心の喧騒も届かず「静かなたたずまい」です。

周りを雪に包まれた豊平館です

薄日のさすなか、雪の菖蒲池越しに見えるキタラです

キタラは深い雪に包まれています

今回のテーマ「ラヴェルに彩られる冬」

全曲、フランスの作曲家「モーリス・ラヴェル」の作品からなる

「オール・ラヴェル・プログラム」・・・

ラヴェルの生涯(1875年~1937年)をたどる構成で、作曲家人生の始まった

「若い頃」から「一番輝いていた頃」そして病気や事故による失意の「晩年」

それぞれの時期の作品で組まれています。

まず「若いころ」の作品「道化師の朝の歌」で幕を開け、

次いで「晩年」の「ピアノ協奏曲」でソリスト登場。

その後、休憩をはさみ、後半は「晩年」の「古風なメヌエット」

2曲目のピアノ協奏曲「左手のためのピアノ協奏曲」が続きます。

締めくくりは「一番輝いていたころ」の代表曲の「ラ・ヴァルス」という曲順でした。

ラヴェルは、生涯「2曲」しかピアノ協奏曲を作曲していませんが、

その2曲が一度に演奏されるというとても「贅沢な構成」です(^^)

ピアノソリストに「ジャン=エフラム・バヴゼ」という、ラヴェルと、ドビュッシーの

ピアノ曲全曲を録音して「フランス音楽の権威」として世界的評価の高い方を招いての演奏♪

ラヴェルといえば「ボレロ」が有名!

砂漠を行くイメージの「単調なドラムのリズム」が遠くから聞こえ

そして去っていく情景描写が強烈な印象ですね。

そして、ムソルグスキーの「展覧会の絵」をオーケストラ仕立てに編曲して

とても奥行きの深い人気曲に仕立て上げました。

今回のプログラム♪

ラヴェル/道化師の歌

原曲はラヴェル自身が「若いころ」作曲したピアノのための組曲「鏡」から

4曲目を「管弦楽用にアレンジした曲」・・・

演奏時間約8分という短い曲ですが、スペインをほうふつとさせる「陽気なリズム」から、

片や対照的に「静かな旋律」と情緒あふれる曲です。

カスタネットも登場するスペイン風の旋律が印象的ですが、スペイン・バスク地方で生まれた「母親へのオマージュ」でもあるかもしれません。

そして道化師というタイトルは「鏡」に移った「ラヴェル自身」をあらわしているのかもしれません。

ピアノ協奏曲

冒頭が鞭(ムチ)の一撃で始まり、聴衆の心をつかむという、なんとも印象的な協奏曲♪

これは、モーツァルトなどの時代の「古典的な作風」に従っているといいつつ、

多彩な打楽器群やハープの効果的な使い方は、革新的に「軽妙」でありながら

「妖艶なリズム」と相まって、いかにもラヴェルの音楽らしさが表現されてます。

約24分の演奏時間のうち、第一楽章よりも第二楽章が長く、圧倒的存在感を残します。

続く、第三楽章がとても短いため、全体があっという間に過ぎ去る印象です。

古風なメヌエット

原曲はピアノ曲で、ラヴェルの「若いころ」まだパリ国立音楽院の学生だった20歳のときの曲で、作曲家として初期の作品。

ラヴェルにとって「最初の出版作品」です。

ヨーロッパの古くからの舞曲である「メヌエット」という形式を踏襲しつつも、

ラヴェルの将来を予感させる新鮮な創意工夫が施されている曲です。

今回、演奏された管弦楽版への編曲はそれから30年も経った「晩年」のことでした。

晩年になって、自身の最初の曲を編曲したということは、それだけ思い入れが強かったということでしょうか。

左手のためのピアノ協奏曲

第一次世界大戦で「右手を失ったピアニスト」のために作った曲です。

ラヴェルの「晩年」の作品で、当時、すでにピアノ協奏曲の作曲に取り掛かっており、

2曲同時進行の作曲となったようで、この「左手のためのピアノ協奏曲」が、

ラヴェルにとって「初めて手掛けたピアノ協奏曲」となりました。

それまでにも左手のためのピアノ曲は、サン・サーンスなどが練習曲として作曲している例があり、それらを参考に作曲したようですね。

約18分の演奏ですが、楽器編成は、ピアノ協奏曲よりも大編成。

大抵のピアノ協奏曲は3楽章構成ですが、この曲は単一楽章の3部構成です。

ラ・ヴァルス

「ラ・ヴァルス」とはフランス語で「ワルツ」という意味です。

つまりオーケストラのためのワルツとして「ワルツ王・ヨハン・シュトラウス2世」への

オマージュとして作曲されたようです。

ラヴェル自身が、1855年ころのオーストリアの宮廷を舞台にワルツを踊る多くの男女と、ダンス会場の光さんざめくシャンデリアをイメージしたことを標題に記しているそうです。

ラヴェルの「一番輝いていたころ」の曲ですが、当時、第一次世界大戦の後の

「健康障害」や「母親の死のショック」で作曲を中断!

これが作曲活動「再開後」、最初の作品となりました。

約12分の演奏ですが、多彩な打楽器群の編成は壮観!

演奏を聴いて

2曲のピアノ協奏曲は、ラヴェルを知り尽くしたソリストの「ジャン=エフラム・バヴゼ」さんの演奏が、力強くも流れるようなタッチと表現力で、聴くほどにラヴェルの精神世界に引き込まれてしまいました。

特に「左手のためのピアノ協奏曲」では、左手だけでもエネルギッシュな演奏で、

オーケストラが、かすむほどの迫力で圧倒!

左手演奏家を励ます力強いメッセージを汲み取りました。

ところで「左手のためのピアノ協奏曲」は、以前、右手が不自由な「舘野泉さん」の演奏で 聴いたことがあります♪

リハビリに励んで復帰した際の演奏曲で、聴衆にも「大きな感動」と「病を克服する勇気」を与えてくれた演奏だったのを思い出しました。

また、ラヴェルは「管弦楽の魔術師」といわれるだけあって、オーケストラの魅力を存分に引き出す演出がとてもよく伝わってきました。

特に、金管楽器群と打楽器群の演奏者の面々はとても輝いて見えました。

演奏家冥利に浸ったのではないでしょうか。

最後の「ラ・ヴァルス」では広上淳一さんのワルツを踊るような指揮で、

札響に熱い情熱を注ぐ友情客演指揮者の面目躍如!

オーケストラと一体となった演奏が印象的でした。

とても心地よく楽しむことのできた演奏会でした(^^)

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コメント

  1. ito より:

    マシュウさん、アンさん、こんにちは。今日は部屋に居ると陽射しが差し込んで暖かい一日でした。が、外は北風が強く、愛犬の散歩は寒かった! ラヴェルの「ボレロ」、私も今月始めのフランス作曲家特集のコンサートで聞きました。ドビッシーも良かったですが、10数分間同じリズムを刻む小太鼓の音の心地よさと最終楽章の盛り上がりに観客拍手喝采でした。演奏中音を楽しみながら小太鼓の位置を必死に探しましたが見つからず、演奏者紹介で分かった次第。チェロ奏者達の後ろでした! bravo!!

    • ともに白髪の生えるまで より:

      itoさん、コメントありがとうございます。マシュウです。
      ボレロの小太鼓の一定のリズムをどうして間違えずに刻むことができるのか?
      いつも感心してしまいます。
      私が見た時は小太鼓がソリストのように指揮者の正面にすわり目立ってましたよ(笑)

      itoさん、こんばんは!アンです。
      コメントありがとうございます♪
      お散歩、お疲れさまでした。
      ワンちゃんは天然の毛皮を着ていて、あったかいでしょうけど
      itoさんはブルブルだったことでしょう(^^)/
      2月中旬は毎年のように、ひとり旅に出掛けていましたが
      本州は雪がないのに、札幌より寒いと感じることが多かったですね。
      その中で一番寒かったのは、奈良。
      底冷え?で、歯がガチガチするほどの寒さは初めての体験でした。
      北国で生まれ育ったのに、実はすごーい寒がりで
      情けないです~(笑)