夫のマシュウです。
昨年の北海道を襲った地震から1年が経ちました。
地震の爪跡は厚真などに甚大な被害をもたらし、被災者の方々の生活が一変!
いまだに復興の道半ばにあります。
また、全道停電という未曽有の二次被害も引き起こし、
地震の影響は各方面に及んでしまいました。
まぼろしのコンサート
ちょうど1年前の土曜日9月8日のことです。
「札響名曲シリーズ」のコンサートが予定されていました。
しかし!
地震の影響で北海道内が混乱する中、コンサートどころではなくなり、
あいにくの中止!
当時は、地震発生の翌日も楽団員が集まってリハーサルに取り組んでいたそうです。
ご存知のように時間が経つにつれて被害の大きさが伝わり、ついに公演断念!
私たちも公演中止は直前に知らされました。
もう聴けないのかと思っていましたら、なんと今年の名曲シリーズで「復活」するというではありませんか(^^♪
テーマは
今回の札響名曲シリーズは、
「今度こそ!鈴木秀美」と題して、1年前に予定したプログラムとまったく同じ曲で構成!
私たち聴衆も、この復活を待ち望んでいました(^^)/
指揮者の鈴木秀美さんは、もともとはチェロの演奏家!
近年、指揮者としても活躍されて、現在、山形交響楽団の首席客演指揮者にも就任されています。
鈴木さんの想いもあって、地震で流れてしまった札響との初共演がようやく実現したことから、テーマは「今度こそ!」なのです。
そして、コンサートに込めた本来のテーマは曲目に表されています。
曲目は
C.P.E.バッハ/「シンフォニア ト長調」
CPE(カール・フィリップ・エマヌエル)は
私たちがよく知っているJS(ヨハン・セバスティアン)バッハの次男として生まれ、
チェンバロ奏者でもあった大作曲家で、ハイドン、モーツァルトやベートーヴェンなどにも多大な影響を与えたということです。
この曲「シンフォニア」は、訳せば「交響曲」を意味するように、のちの交響曲の前身となる曲の一つだそうです。
弦楽のみで演奏され、切れ目のない3楽章構成で、演奏時間は約12分
ハイドン/交響曲104番「ロンドン」
ハイドン最後の交響曲で、ロンドンで作曲したことからこの標題が付けられています。
初期のころはC.P.E.バッハの影響を受けた形式で書いていたようですが、晩年には交響曲のひな型を完成して、この「ロンドン」は熟成したころの作品といえるようです。
4楽章の構成で演奏時間は約30分
ドヴォルジャーク/交響曲第8番
この曲は、第9番「新世界」と並んで、「ドボ8」の愛称で呼ばれるドヴォルジャークを代表する有名な交響曲ですね。
この曲にはかつて「イギリス」と言う副題がついていたそうです。
作曲自体はチェコにおいてなされており、必ずしもイギリスをイメージしたものではなく、たまたま出版社がイギリスのロンドンにあったということだけなんですが・・・
でもケンブリッジ大学から名誉博士号を授与された機会に、自身の指揮で演奏したということでイギリスとは縁が深い作品だということです。
全体は4楽章構成で、演奏時間は約35分
ということで、プログラムの隠れテーマは、昨年と同じ「セプテンバーinロンドン」
そうなんです。現在EU離脱問題で揺れる「英国」なんですね。
演奏会の感想
1年間このコンサートを待っていたということもあり、期待感一杯で耳を傾けました♪
曲の合間に、指揮者の鈴木秀美さんが語られた、C.P.E.バッハが、いかに以降の音楽家に大きな影響を与えたかということと、音楽教育の場でC.P.E.バッハを評価すべきだということは、よく理解できました。
期待に違わぬ演奏で、聴きなれているはずの「ドボ8」は、とてもボヘミアンな香りが伝わる素晴らしい演奏で、第1楽章から琴線に触れる熱い思いを抱かせてくれました♪
やまない拍手に応えたアンコール演奏は、ハイドンの交響曲第92番「オックスフォード」から第3楽章でした。
追悼
9月1日、チェコの指揮者で札響の名誉指揮者であったラドミル・エリシュカさんがチェコ・プラハの病院で死去したという報に接しました。
札響の定期演奏会や名曲シリーズで指揮を執るエリシュカさんの温かい人柄と、
それを客席から見守るご婦人の印象が忘れられません。
健康上の理由で最後の演奏会となった2017年10月のコンサートを終えた時の
会場の感謝の拍手が鳴りやまなかったのをつい最近のように覚えています。
札響と数々の名演奏を聴かせていただきましたエリシュカさん、ありがとうございました。
心からご冥福をお祈りいたします☆